心に残る「ひとコマ」 2025
今年も今日を含めてあと2日を残すのみとなりました。
そこで今年を振り返り、私の心に残る「ひとコマ」のいくつかをご紹介しましょう。
【コムラサキ越冬幼虫の降下】

これは何の変哲もない幼虫の写真に見えますが、実は2年越しで狙っていた場面です。体長1cmほどの小さいコムラサキの幼虫がヤナギの幹を4-5mの樹上から地上1m前後のところまで延々と這って降りてきて、越冬をするのに適した樹皮の割れ目を探しているところです。この後、わずか30cm程度の距離を1時間以上かけて探し、ついに気に入った場所を見つけて越冬態勢に入りました。
【ヤマトシジミの幼虫の奇妙な突起物】

この写真は鉢植えのカタバミの根元で越冬中の幼虫ですが、その尾端に近いところから出ている2つの突起物にご注目ください。
ヤマトシジミの越冬中の幼虫を観察していて発見したのですが、幼虫は何かの刺激を受けると(この時はもう1頭の幼虫が近づいてきた)この突起が急にニョキっと現れ、しかもその先端が花火のようになっているのです。これはまるでウラギンシジミの幼虫の威嚇するための「線香花火」にも似ています( 参照:動画集「ウラギンシジミ」 これはmatsさんが撮ったものです)。ウラギンシジミの突起物は常にまるで角のように体表に出ているのですが、ヤマトシジミのものは通常は体の中に仕舞われています(うっすら、その場所はわかる)。
ムラサキシジミなどのシジミチョウの幼虫には体の後部に蜜腺があり、アリなどを誘引する物質を出し、蜜を提供する代わりにアリに守ってもらうという共生関係がありますが、この突起物が蜜腺そのものではないかと思われます。
【ムラサキツバメの吸蜜】

空気は冷たいいものの日差しの暖かさを感じるこの日、ムラサキツバメはサザンカの花に体ごと入って吸蜜していました。真冬の時期には樹液の出ている木もないし、花の数も少ないので、日向に咲くサザンカなどはありがたい食事場所です。このあと、太陽に背を向けて大きく翅を広げ、暖をとっていました。
【羽化直後のツマキチョウの手乗り】
昨年の春に多摩川河川敷でツマキチョウの産卵直後の卵を10個採って飼育していたものが、すべて順調に蛹になり冬を越しました。そして、今年の春、順番に羽化を始めましたが、これは第一弾が羽化した直後の姿です。3頭ともオスで、手乗りさせて記念に一枚。その後、さらに3頭が続きましたが、今年羽化しなかった残り4頭がまだ飼育箱の中で蛹のままで2回目の冬越をしているところです。来年の春、羽化することになりそうです。
【ジャコウアゲハの蛹化】 
飼育中のジャコウアゲハが幼虫時代の黒いナマコのような皮を脱いで蛹に変身する瞬間です。背中側が割れて、中から黄色い蛹が覗き始めています。
【クロコノマチョウの羽化の瞬間】

蛹が割れクロコノマチョウの羽化が始まってから約30秒後の姿です。あっという間に完全に蛹の殻から抜け出し翅を伸ばし始めます。これまで何度も羽化の開始の瞬間の撮影を試みたのですが、いつもごくわずかの違いでこの瞬間は見逃していました。今回やっとカメラでとらえることができました。
【クロコノマチョウの蛹殻と幼虫時代の抜け殻の頭部】

この写真は上の羽化したクロコノマチョウの蛹の殻を反対側からとったものです。
この個体は蛹になる時に頭部の抜け殻だけが蛹に付いたままでした。普通なら、体の部分の抜け殻と一緒に頭の部分も切り離されて蛹からは落ちるものなのですが、なぜかずっと蛹に付いたままでした。羽化の瞬間の写真も、よく見ると蛹の反対側の上の方に触角の一部が写っているのがわかります。
【ツマキシャチホコの絶妙擬態】
擬態にもいろいろな擬態がありますが、これは折れた小枝に擬態したツマキシャチホコという小さな蛾です。草の葉の上に折れた小枝がチョンと乗っているように見えたのですが、実はそうではありませんでした。体全体が灰色の木の樹皮のようで、しかも先端は折れた木の小口に似せ年輪を思わせる模様にまでなっており、後端は折れた木の感じもうまく出しています。体長わずか2cm程度の小さな体にこれほどの絶妙な細工が施されている、なんという擬態の妙でしょうか!
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今年も相変わらずの拙い文章と写真をご覧いただき誠に有難うございました。
来年もまたよろしくお願いします。
(Henk)
参考 蝶図鑑 コムラサキ ヤマトシジミ ムラサキツバメ ツマキチョウ ジャコウアゲハ

