コムラサキの蛹

今年は3月24日に越冬幼虫が全て台座を離脱して、長い冬場の観察を終わったと思っていた。しかし、その僅か4日後の28日に小さい幼虫がヤナギの細い下枝を這いまわっているのを全く偶然に見つけた。台座を離脱後は殆どが木の上を目指して登って行ったはずだが、越冬していた高さよりも下の木の根元近くの地上すれすれのやっと芽を吹き始めたばかりの細い枝にいたのだ。これは意外だった。
ということで早速この1頭を持ち帰ることにした。ただ、今年はこの時期芽を吹いている枝はまだ少なく、その後はしばらくエサの補給に苦労した。その後2度脱皮をして大きくなるころにはエサの量も増え、新鮮なヤナギを隔日に採りに行くことになった。そして採ってきた枝を見てまた驚いた。まだ1㎝程度の幼虫が付いていたのだ。体はすっかり緑色に変わっていたが、冬眠明けのものと殆ど大きさは変わらない。私が手折れる枝はせいぜい地上1-2mのところのものだが、そこになぜこんな小さい幼虫がまだうろついているのか。一旦、木の天辺近くの梢まで登って行って、エサにありつけず再びここまで降りて来ていたのか? ともかく、大きさの違う幼虫を育てることにした。そして、最初のものは4月17日頃から体が透明なヒスイ色に変わり始め、ゆくゆく萎びて落ちそうな葉を自ら吐く糸で丹念に補強した後、18日に逆さの前蛹の態勢をとり、さらに19日には蛹となった。この間僅か1日という早業だ。これほど前蛹期間が短いとは思っていなかった。

採幼直後(小さいながら、ガツガツとそれまでの空腹を満たしている) 

2回目の脱皮後、自分の抜け殻をきれいに平らげる(殻もやはり貴重な栄養源か)

枝についていた小さい幼虫(どうも育ちが悪すぎる) 

蛹になる前の準備(落ちそうな葉の付け根を自ら糸を吐いて丁寧に補強)体はヒスイ色で透明に近くなり逆さにぶら下がり前蛹となる 

完成した蛹 

下に落ちている最後の脱皮殻。何とも愛嬌がある。

(Henk)

コムラサキの蛹” に対して1件のコメントがあります。

  1. あさぎ より:

    食草を頻繁にとりに行くのは大変そうです。たらふく食べてくれたらいいですね。

    ウマノスズクサを育てていたら、「風の谷のナウシカ」の地下室のシーンを思い出しました。
     ジャコウアゲハの飛翔もナウシカの飛び方に似ている気がします。

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