緑の宝石?

ここ2か月ほど、飛ぶチョウが殆どいなくなって、コムラサキの越冬幼虫が観察の対象になっている。そんなわけで、河川敷のヤナギの幹を舐めるように見て回る。2月に入って、越冬していた幼虫が徐々に覚醒し始めたので特にその頻度が高くなった。虫眼鏡を持って埃をかぶった茶色のひび割れた幹ばかり見ていた時に、思わずハッとする瞬間があった。きらりとメタリックな濃緑色の小さな一点が突然視界に入ったのだ。茶色ばかりの中に輝く緑の一点、とても目立った。その時は西に傾きかけた太陽の光を反射して特別に輝いて見えた。まさに緑の宝石だ。この輝きは翅の持つ構造色だから、タマムシと同じように、この虫が死んでも変わることなく輝いているはずだ。もう少し拡大してみよう。


しかし、これを写真に収めるのにはそれから一苦労することとなった。コムラサキの幼虫はそっちのけで、緑の宝石を追いかけ始めた。というのも、この宝石は3㎜程度と非常に小さく、ちょこまかと動き回るので、追いかけていてもなかなか焦点が合わせられない。やっと焦点を合わせシャッターを切ってたと思っても、その時にはその姿は忽然と消えてしまっている。こやつは警戒するとピーンと跳ねてどこか離れたところまで逃げてしまう特技を持っていた。それも体に似合わずかなりの跳躍力だ。そして、離れた場所でまた見つけカメラを構えるが、また逃げられる。この写真はそんなおいかけっこの末に撮ったものだ。虫眼鏡で見ると、どうも触角などの形状からするとハムシの類だと思うが、ハムシの種類は数がとても多くて、すぐに名前まで分からなかった。後で調べてみて、スズキミドリトビハムシという名前を持っているらしいと分かった。「・・・トビハムシ」か。「・・・ノミハムシ」というハムシもいるが、こちらも危険を感じると蚤のようにピーンと飛び跳ねて逃げる。どちらもすることがよく似ている。
このスズキミドリトビハムシもコムラサキ同様ヤナギの木の恩恵を受けて生活をしているお仲間らしいことが分かった。

(Henk)

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