降下中の幼虫 ついに発見!

晩秋から春先にかけて、ヤナギの幹で越冬するコムラサキの幼虫を観察し始めて3年目になる。

最初の年は、晩秋になると樹上から降りてきて既に幹の割れ目で冬眠態勢に入っている幼虫を探すことに熱中した。体長1cm前後の小さい幼虫が樹皮そっくりな擬態で姿を隠しているのを探し出すには虫眼鏡も必要になるし、そう簡単なことではない。枯葉の中などで越冬するオオムラサキやゴマダラチョウの幼虫と姿こそよく似てはいるが、まるで大きさが違って、ともかく小さい。しかし、実際やってみるとその探索は下手な間違い探しのクイズや宝探しよりも面白い。その年は友人と二人で100頭余り見つけ、それぞれに番号を付け、春先に再び活動を始めるまでひと冬中観察を続けた。そのうちの何パーセントかは途中で死ぬか、行方不明になった。天敵に襲われることもあったのかもしれない。そして、3月初めになると冬眠を終わって活動を開始するわけだが、気が付くと殆どは知らぬ間に割れ目から抜け出して樹上に上ってしまっていた。しかし、そのうちのわずか数頭だけだが、冬眠から目覚めてまさに割れ目から抜け出す瞬間を写真に撮ることができた。それを見た時は大いに感激したものだ。

翌年(昨年)は、今度は冬眠に入るために樹上から降りてきて幹の割れ目に収まる過程を写真に捉えられないものかと考えた。その年も100頭以上発見はしたが、降下の行動を見る機会にはついに恵まれなかった。ということで今年はリベンジの年でもあったのだ。
春先の覚醒については、しつこく狙っていればその瞬間に巡り合うことは比較的容易とも思えるが(それとても、いつ動き出すか、その前兆を捉えて空振り覚悟でひたすら待つということ。)、冬眠態勢に入る直前の行動はそれよりもはるかに予測が難しい。気温が下がってくれば、あるいは日が短くなれば、その時期が近いことはわかるが、どのタイミングでその行動を開始するのか全く分からない(いまだによく分からない)。樹上のヤナギの葉は12月末になってもまだ青々としているし、餌が摂れなくなって降りてくるわけでもない。いずれの年も降下の時期は11月末から1月とバラついていた。

最終の越冬地点に到達した今年の個体(Y9と命名)

しかし、今年は運がよかったとしか言いようがないが、既に冬眠態勢に入っているものを探索中に、偶然樹上から下を目指してあちこちうろつきながら降りてくる1頭の個体を発見することができた(冒頭の写真)。4-5mくらいあるヤナギの枝先から降りてきて地上1m前後のところでウロチョロしているのを発見したわけだが、その個体はそこから最終的に冬眠態勢に入る終着点まで約30cmの道のりを1時間以上(11時53分から13時10分まで)かけることになった。

次の写真は、降下当日の様子を撮った写真を見て、後日その行程を画鋲で表示したもの。
左上の点が発見地点。右下の二つの白い点の間の割れ目にY9は収まったが、途中何度も方向を変え、立止まり、その場所が越冬に適しているかどうかを時間をかけて丹念に吟味しているようで、遅々として進まない。

こちらはその間カメラを構え、じっと様子を見守ることになった。ついに見つけた念願の個体だけにもうここまで来て、途中で観察を中断するわけにはいかない。どこまで行くか知らぬが、どれだけ時間がかかるかわからないが、最終的に越冬地点に落ち着くまでと覚悟を決め昼食もせずにひたすら耐えてこの行動に付き合うことになった(笑)。結果的に1時間程度で済んでくれてよかったというのが正直な気持ち。もっと時間がかかることだってなかったわけではない。ともかく、この日は念願の降下の様子を写真や一部動画にも収めることができて大満足の一日だった。

(Henk)参考 蝶図鑑 コムラサキ

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