コムラサキ幼虫の脱皮
チョウは幼虫時代に何度も脱皮を重ね、そして蛹になり、ついには羽化して成虫のチョウになる。しかし、飼育をしていても、脱皮を終わったばかりの体つきが変化した幼虫と、そばに残された脱皮前の古い皮を見ることはあるが、意外と脱皮の瞬間には出会ったことがない。触角のない青虫の場合は現場を見なくてもどのように脱皮するのか大体は想像はできる。しかし、コムラサキなどのように触角がある幼虫は一体この触角をどのように処理しているのか、かねがね気になっていた。そこで、今年はその瞬間を見届けようと考えた。
とはいっても、その瞬間がいつ訪れるのか大体は分かっても、その瞬間に立ち会えるかどうかは別問題だ。脱皮の前の休止に入ってからもいつ脱皮が始まるかはなかなか予測し難いものだ。何頭かのコムラサキの3齢から4齢への脱皮を狙ったが、悉く裏をかかれで失敗。次に4齢から最終齢の脱皮を何度か狙い、ついに見届けることができた。
【脱皮直前】
脱皮の前には活動を休止する期間があり、コムラサキの場合は頭から下の部分に新しい頭も含め体全体が準備されることになる。したがって、古い頭の部分は空っぽの状態になってくる。皮膚を通して、頭の下でその作業が進んでいることが窺がえる。
【脱皮開始】
頭の下の皮が破れ始める。同時に、体全体の古い皮に皺が寄り始める。
【脱皮最中】
皮が破れたところから足が6本次々に出てきて、古い体の中で折りたたまれ準備されていた新しい触角が頭部とともに出てくる。最後に古い皮全体は後方に押しやられる。写真では新しい頭部は古い角のあるお面をかぶったように見える。
セミやトンボの羽化の時には、幼生時代の足、触角など全て1本ごとに古い殻から抜け出すことになるが、チョウの場合は古い触角から新しい触角が抜け出るということではないことが分かった。チョウは羽化の時でも蛹の殻の中で新しい体が完全に出来上がっていて、ただするりと寝袋から抜け出る格好だ。
【脱皮完了】
すべて新しい体がでてきたが、このケースでは古い頭部はまだお面のように貼り付いている。折りたたまれていた触角は次第に伸びてきたが、まだ柔らかく少し曲がったまま。
(Henk)
参考 蝶図鑑 コムラサキ
