上下逆転!
このところすっかり嵌ってしまったコムラサキの越冬幼虫の観察だが、寒い寒いと言いながら吹晒しの河川敷の現場に通うと、それなりに新しい気付きがある。昨年末から発見した幼虫の総数は既に100頭を超えてしまったが、行くたびにまだ1つ2つの新顔を見つけることもある。それはこの幼虫の巧妙な擬態と樹皮の割れ目の上手な使い方にある。もちろん、その場所は何度も何度も見てきているはずなのになおも見落とすくらいの巧妙さなのだ。
春が近づくにつれ冬眠からの覚醒がはじまるが、それまでの間は行くたびにその場所での生存確認をしていた。昨シーズンも途中で死んでしまったのか姿が見えなくなったものもいくつかいたので、今シーズンは注意深く生存確認をしてきた。その場合、アングルは多少違ってもできる限り写真で記録するようにしていた(だが、何日かは確認だけで、写真を残してない日もある)。ヤナギの樹皮の割れ目は縦方向なのだが、幼虫はその割れ目をうまく利用してそこに自ら糸を吐いて台座を作り頭を上か下かにしてスッポリと体を納めている。
ところが、最近になって気が付いたことがある。発見当時の幼虫は確か頭を下にしていたとおぼろげながら記憶していたが、最近になって、見ると目の前の幼虫は頭を上にしているのだ。そこで念のため以前の写真と現在のものを見比べると、全く同じ台座の上で上下の位置を逆転させているのだ。これまでは、生存確認が主目的だったということもあり、その場にちゃんといてくれれば良し、だった。実際100頭以上もいるので、特に頭の上下のことなど全く念頭になかったのだ。しかし、1頭のその行動を見て他の個体はどうか一応確認して見た。すると、やはり同じように位置を変えているものがいたのだ。位置を変えた前後の写真を見比べ、それは何時だったのか確認してみた。
それよりも、なぜ位置を変えたのか、について難しい疑問だ残る。最初の寝床の設営がまずかったのか、それとも途中で位置を変えざるを得ない何らかの事態が起こっていたのか・・・。
M#12と名付けられた個体の場合:
発見当時 12月17日 頭は上
2月24日9:46も頭は上
同日 10:15には頭は下に変わっている! 何と僅か30分の間に上下逆転していた。
この写真は、M#12を意識せず、その時新たに発見したM#37との位置関係を記録する意味で撮ったものだが、下の写真のとおり拡大して見ると頭を下にしているのが写っていたという訳だ。9:46に写真を撮ってからM#37を発見したりして30分くらいはM#12には全く注意は払っていなかった。生存写真が取れた以上、その日はM#12に関わることもなくなっていた。したがって、その後つい最近までその短い時間の間に位置を変えていたことなど想像すらしていなかった。できれば、逆転の瞬間に是非立ち会ってみたいものだ。でも、余程運がよくなければ・・・。
![]() |
写真の一部を拡大して分かった。 |
| 2月24日 9時46分 | 2月24日 10時15分 |
M#17と名付けられた個体の場合:
発見当時 2月2日から15日まで、頭は下
2月24日以降、頭は上
この9日間にはあいにく写真を撮っていなかった(途中雨の日もあり、正直手抜きしていた)。
![]() |
![]() |
| 2月15日 11時4分 | 2月24日9時55分 |
ただ、このM#17にはこのあと悲しい出来事が起こりました。3月5日の昼近くに見に行くと、なんと何かに押しつぶされたように台座についたまま死んでいるのでした。この河川敷のヤナギの群落は、近所の子供たちがよく木登りをする場所でもあり、ちょうど足をかけて登り始めるところに当たってしまった悲劇かもしれません。後数日すれば梢の上まで移動できていたのに、残念。

(Henk)




