ミドリセイボウ

チョウの話ではないが、今年の夏は大いに感激する出会いがあった。いわば、この夏のハイライトでもあった。
というのも、これまで写真に撮りたかったが殆ど撮れていなかったセイボウに出会ったのだ。ミドリセイボウという体長1㎝にも満たない小さな種類のハチで、冒頭の写真がそれだ。因みに、セイボウは漢字では「青蜂」と書く。これまでにたった一度だけ意識しないで撮ったチョウの写真の片隅にごく小さくセイボウの一種が偶然に写っていたことがあっただけだった(参照:モンキチョウと「おまけ」)。
じつはセイボウの仲間は何種類もいて、オオセイボウという青いメタリックな体のものが最も有名だが、私が今年出会ったミドリセイボウもこれまた素晴らしい。黒とメタリックな緑と青が主体ではあるが光の具合ではオレンジ色から緑、青、紫へと虹色に変化する色をしている。腹側の滑らかな緑色の金属光沢と対照的に、背側は一面が金属板に鏨で敲いたような無数の小さな窪みがある肌合いとなっていてとても渋い。
茅葺の家の軒先でそれを見つけた。真上から降り注ぐ眩しい夏の陽射しに目を細めながら仰向いて軒先の端を見つめ、汗だくになってセイボウを待つ。セイボウが来る前に額からは汗は流れて目に入るし、来てほしくない藪蚊だけは遠慮なく来る。カメラを持ったまま汗を拭く、蚊を追い払う、刺されたところがかゆくて掻く。とても始末に悪いがともかく我慢だ。茅葺の家の軒先の束ねて切りそろえられたカヤの切り口(穴が開いている)が彼らの活動場所なのだ。そのカヤの切り口にはヤマトルリジガバチが盛んに出入りしていて、そこに卵をうみつけ、子供のためにエサも一緒に運び入れている。ミドリセイボウは、そのハチの産卵場所を探していわば巡回している。隙があればそのハチのいない間に忍び込んでちゃっかり卵を産み、先住者の幼虫に寄生するためだ。つまり、セイボウという種類のハチはハチに寄生する寄生バチなのだ。チョウなども随分とハチやハエに寄生され、ようやく蛹にまで育ったころに、チョウの体内を食い尽くしたハチが何頭も羽化して出てくる。そんな光景にこれまでたびたびがっかりさせられてきたものだ。チョウでの寄生率は極めた高く(はっきりとした数値は残念ながら知りません)、ヒト・鳥などの天敵に殺されることなど含めると、チョウの卵から無事成虫になれるのはわずか1-2%ととも言われる。
しかし、今回はそんな寄生バチ・セイボウの側に焦点を当てて見ていることになり、それはまた別の世界が広がったように感じた。この夏、自然の中でのミドリセイボウの写真を撮っただけでなく、何頭か捕まえてその行動を観察しながら、屋外ではまず見ることができない腹側の様子なども見ることができた。
では、その何枚かをご紹介しよう。
ヤマトルリジガバチが卵を産み、将来の我が子のためにエサを運び入れようとしている。おそらく、ミドリセイボウに狙われる。
寄生できそうなヤマトルリジガバチの製作途中の巣を物色しているミドリセイボウ

この角度で撮れるのは珍しい。なぜか色合いも緑色が強く見える。
捕まえたミドリセイボウ、ティッシュペーパーに含ませた砂糖水を舐めている。
これが腹側(プラスチックのケース越しなので鮮明ではないが)。
手にも乗せた!
最後になりましたが、実はこの場所を教えてくれたのは、これまでにも何度か登場してもらっているAさんでした。
Aさん、有難う。今年は楽しめました。
(Henk)


明けましておめでとうございます。
すばらしい「蝶と野鳥の図鑑」の新年は、あのショッキングな「ミドリセイボウ」の生態写真でした。
一枚目の写真とコメントだけで終わりと思っていましたが・・・・続きがあった!
「コサギの喧嘩」で写真の物語を発見して・・・もしや…と思い再確認したら・・・詳しい生態の写真が大画面で続々と・・・す・凄い!
これでは「図鑑」というより「生態物語」です。新年早々大興奮です。
取り敢えず?今年もどうぞ宜しくお願い致します。
ソフィア
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「ソフィアさん、たいへんだ~!って慌てふためいているよ。」(黒猫クー)
「まさか、ピアノに突進?」(チル)
「ハハハ、昨年は忙しくてサイトの準備ができなくってボサーッと・・・」(クー)
「コラッ クーちゃん、お花の投稿も音楽の投稿もこのサイトを見て・・・お正月返上して・・・可哀そう・・・」(チル)
「このサイトに、マ・ケ・ル・ナ!」(チル&クー)
ソフィアさん
コメント有難うございます。
私自身、昨年初めて出会ったミドリセイボウですが、その目の覚めるような姿に魅せられ真夏の暑い日に何日も通いました。その生態がまた非常に興味深く、ちょこまかとカヤの切り口を行ったり来たりして寄生するチャンスを窺うところをカメラで追い掛け回していました。
来シーズンの楽しみが1つ増えました。