その後のミドリセイボウ
その後1週間ほどして再度茅葺の古民家を訪ねてみた。前回訪ねた時はヤマトルリジガバチの姿しか見られなかったが、今度は彼らに混じって忙しく飛び回るミドリセイボウもいた。
しかし、数としてはまだ圧倒的にヤマトルリジガバチの方が多い。そんな中、体が小さいミドリセイボウはチョコマカとカヤの切り口を次々と物色して適した産卵場所を探して回るが、なかなか気に入ったものが見つからないようでそのあたりを何度も行ったり来たりしている。飛んでは止まり歩き回りカヤの穴を覗いているが片時もじっとせず、またすぐに飛び立つ。古民家の低い軒先を腰をかがめてカメラでミドリセイボウを追いかけるのは楽ではない。
産卵場所を物色中のミドリセイボウ
そうこうしているうちにカヤの切り口を覗き込んだかと思うと、そのまますっと中に潜り込むのがいる。しばらくしてまた出てくるが、おそらくその間に卵を産み付けたのだろう(穴の中の様子は分からないので、これはあくまで私の想像だが)。
カヤの穴に潜り込む瞬間のミドリセイボウ
離れたところで、ちょいと一服中のミドリセイボウ
一方、寄生される側のヤマトルリジガバチ。
前回見た時は捕まえたばかりのクモを咥えていたものが殆どだったが、今回は何かのエサを既に肉団子にしたものを運び込んでいた。寄生されると分かっていても(実際は当の本人たちには分ってはいない?)どの個体もせっせとこの作業を繰り返している。外でお互い鉢合わせしても、別にその場で敵対するでもなく、平然としている。観察している人間はお互いの関係を知っているだけに、それを見ているとなぜかヤマトルリジガバチが気の毒な気持ちになる。しかし、実際は、ヤマトルリジガバチは寄生されてダメになる数以上に卵をたくさん産むことによって、自然にバランスが取れているのだろう。ミドリセイボウにしても、すべてのヤマトルリジガバチに寄生してしまえば、次の世代が寄生する対象がなくなって困ることになる。
(Henk)