二つのムラサキ 「ムラシ」と「ムラツ」
今年はアカシジミもミドリシジミも見ることができなくて足取りは重かったが、たまには何かいいこともあるだろうと少ない梅雨の晴れ間を狙って生田緑地へ。
駐車場を出るとすぐ、ウラギンシジミに出会った。駐車場の近くの地面を低く飛んでいる。どうも羽化したばかりのようで、時々草にも止まるが要領が悪い。体が傾いてしまう。でも、もうすぐ高速で飛べるようになるだろう。翅を閉じたままだが、これは鮮やかなオレンジ色のオスだ。「今日は何かいいことありそうだ。」と、このウラギン一頭で途端に気分が軽くなった。
広場に出ると早速マテバシイでムラサキツバメが何頭か飛び回っているのが目に入った。ひこばえにはアリもたくさん登っていて、忙しく動き回っている。いたいた、マテバシイの葉の丸まった中には終齢に近い幼虫もいた。
そして、結局2時間ほど歩き回っていて帰り際に二つ目の違うムラサキ色(注)に出会った。最近はハイムでは姿を見なくなったムラサキシジミだ。比較的きれいなメスで、茂みのササなどに混じって生えている実生の小さいコナラの周りをしきりに飛び回っている。産卵場所を探していたようだ。一瞬どこかへ行っていても、また直ぐに戻って来てコナラの新芽のあたりをしきりに気にしている。しばらく様子を見ていて、ついにその現場を目撃した。卵の全形がキチンと写っていなくて残念だが、まだ綿毛のようにくるっと巻いた新芽の先に産み付けられているのがわかるだろうか(最後の写真)。
二つのムラサキの間には、クロヒカゲ・ヤマトシジミ・クロアゲハ・ヤマトタマムシ。そしてまたもやmatsさんと出くわし、それから二人してタマムシを追いかけることとなった。最近、羽化不全のものをたくさん見ていただけに、この日は完全な元気に飛び回るタマムシ(完品?)が見られてなぜかホッと一安心した。
注)「ムラサキ」を名前に持つチョウはオオムラサキを始めたくさんいるが、ムラサキを名前の先頭に持つのは、ムラサキシジミとムラサキツバメだけ。仲間内では、簡便に「ムラシ」「ムラツ」と呼んでいる。
(Henk)